スマートフォンやVRなどさまざまなデバイスや通信環境の普及によって、ゲームやエンターテインメントへの関わり方が大きく変わり始めている昨今。そんななか「ホラー」と「テクノロジー」(「ホラテク」)で新しい恐怖体験を生み出す株式会社 闇との対談企画「ほらてくっ!」がスタート。ゲーム関連はもちろん、ホラー、テクノロジー、エンターテインメントについて、てくてくと歩きながらゆるーくお届けしていきます。──まずは、お二人の自己紹介をお願いします。頓花(とんか):頓花(とんか)聖太郎です。デジタルインスタレーションやアプリ制作などを手がけているWeb制作会社で5年ぐらいアートディレクターとして働いていました。僕はホラーがとても好きなので、インスタレーションやWEB制作で使っている技術とホラーを組み合わせたらおもしろいと考え、2015年に株式会社 闇(http://death.co.jp/ja/pc/)を立ち上げました。 大原:大原 絵理香です。ゲーム会社のPRなどを経て、インターネットで見かけた株式会社 闇のインターン企画に応募して入社する運びとなりました。現在は東京オフィスでPRを担当しています。──ホラーを好きになったキッカケはなんですか?頓花(とんか):ものづくりを志したのは、昔からテーマパークが好きで、学生時代に東京ディズニーシーに行った時にある石の造形へのこだわりに感動し、自分もそのような世界観を作りたいと考えたからです。ホラーについては、大阪にある年限定であったエキスポランド内の『バイオハザード ナイトメア』というアトラクションを体験したことが大きかったと思います。当時のお化け屋敷は怖い造形を順番に見て回る単純なものが多かったのですが、『バイオハザード ナイトメア』では最初から最後まで作品の世界観で作られていました。人がしっかり演じて魅せるお化け屋敷を体験して、いつかこのような仕事に関わりたいと思いましたね。大原:私はホラーは苦手だったのですが、数年前からお化け屋敷はとても好きになりました。ホラー映画は勉強のために週1本観ていますが、映像はやっぱり怖くて苦手ですね。頓花(とんか):実は僕も怖がりで。ホラーはとても苦手で、特にホラーゲームとかはとても怖いです(笑)。大原:以前関わった『バイオハザード』の案件では、ゲームをプレイしながら大騒ぎしていましたもんね(笑)。頓花(とんか):そうですね。僕はホラーは複数人で観るとおもしろいと思っています。会社で映画の試写会なども行うのですが、みんなで観るのは好きですね。──怖いのが苦手とのことですが、どうしてホラーをビジネスにしようと思われたのでしょうか頓花(とんか):まずは、ビビりだからです。怖がりではないと「怖い」という感覚が分からなくなってしまうので、自分が本当に怖いものを作ろうという考えがあるのだと思います。もうひとつは、怖がられるのはすごく気持ちが良く楽しいからです。そのため、作り始めるとちょっとでも怖くなるようにと考えてしまいますね。──株式会社 闇としてやりたいビジョンは頓花(とんか):大きすぎるかもしれませんが、最終的には、ハリウッドホラーに携わりたいという夢がありますね。ホラー映画は、アイディアひとつで世界に大きなインパクトを与えられるジャンルなので、いつかそこに達せたらなというのが最終段階です。大原:低コストで作られるホラー映画も多いですからね。頓花(とんか):そのため、門外漢である自分たちにも携われる可能性があるのかなと思っています。創業3年目ですが、デザインばかりやっていた自分がここまでいろいろなことができるようになっているのも、ホラーというジャンルのおかげだと感じます。──「怖い」、「ドキドキする」といったホラーの魅力ってなんだと思いますか?大原:いわゆる怖いもの見たさですよね。頓花(とんか):怖い体験には高いストレスがかかりますが、同じだけ快感を得られるので、そのギャップが気持ち良いというのを聞いたことがあります。そしてこれを何度も繰り返すと、怖いがなくなって気持ち良さだけが残るそうです。大原:辛いものと似たような感覚かもしれませんね。頓花(とんか):ストレス解消にもなりますし、人との距離を近づけてくれるとも思います。ゆえに、ひとりよりも複数のほうが楽しいと感じています。──「ホラー×テクノロジー」を明確に打ち出している会社はあまり見かけませんが、どういった経験からこの会社の起ち上げに至ったのでしょうか頓花(とんか):以前いた会社の子ども向けのテクノロジー案件があり、子どもたちが魔法を使っていると信じてテクノロジーのインスタレーションを楽しんでいるのを見ました。その見方を変えると、この魔法のような技術はいままでにないホラー体験を作れると発想したのが原点ですね。──具体的な事例はありますか?大原:公式サイトのスマホサイトでリアルなホラーを体験できるような仕組みだったり、ホラーテクノロジーを活用した体験イベントを近所の公園などを使って行いました。頓花(とんか):謎解きホラーイベントでは、超指向性スピーカーという技術を利用しています。これは、狙った所に音を出せるもので、特的の場所にのみ赤ん坊の泣き声や足音を出したりが可能です。他にもGPSやメール機能を利用するなどスマホをフルに使って謎を解いていく仕掛けを作りました。──ちなみに、霊感はありますか?頓花(とんか):幽霊を信じてはいないのですが、よく分からない事象は起こるなとは思っています。たとえば、サイトを作っていたら異常に目が腫れたりとかですね(https://goo.gl/hVzNAT)。大原:同案件で、デザイナーは突然視野が狭くなったりもしました。頓花(とんか):金縛りにもよくなり、尋常じゃない恐怖幻覚に襲われます。この状態になると、頭と呼吸のバランスが取れないある種の酸欠状態になっているため、夢のなかに自分が想像もつかない怖ろしいモンスターが出てきます。で、そこで見たものを起きたらメモしたりしていますね(笑)。頓花(とんか):社内で起きたエピソードとしては、企画で首吊り死体を部屋に置いた状態で外出したところ、深夜に帰社した社員が死ぬほど驚いたということがありました(笑)。それ以降、なにか仕込みをする際は自然に連絡をするようになりましたね。──オカルト系の情報はどのように集めているのですか?頓花(とんか):コンビニで売っているオカルト系の本を読んだり、怖い話のまとめサイトもよく見ています。──注目しているテクノロジーや今後の展開の構想はありますか頓花(とんか):Appleが出したARkitですね。スキャニングのスピードが早く、ホラーに取り入れたいなと思っています。次はリアルイベントをやりたいのですが、お化け屋敷というフォーマットだと夏のイメージが強すぎるのが問題ですよね。そのため、季節を問わない、もっと身近に楽しめるホラーイベントを発案していきたいなと考えています。──今年の夏に仕込んでいるイベントは頓花(とんか):大阪にある「ひらかたパーク」のホラーイベントを、制作チームの一員として関わっています。昼は通常のお化け屋敷なのですが、夜は閉館後の遊園地全体を使ったホラーイベントを予定しています。脈拍などが測れるバイタルセンサーを利用し、ビビり度診断が可能です。それに加えて夜は、参加しているチームで脈拍センサーが一定の値を超えるとアラームが鳴り始め、お化けに襲われるというものをNTT西日本さんと制作をしています(http://www.mbs.jp/obake/)。──ありがとうございました。頓花(とんか)・大原:ありがとうございました。「ほらてくっ!」毎月1本不定期でお届けします。
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