ゲームも舞台も好調のマーベラスが打つ次の一手・・・マーベラス中山晴喜会長インタビュー 2ページ目 | GameBusiness.jp

ゲームも舞台も好調のマーベラスが打つ次の一手・・・マーベラス中山晴喜会長インタビュー

ゲームや音楽・映像事業だけでなく、ミュージカル『テニスの王子様』をはじめとした漫画やアニメ、ゲームを原作とした2.5次元ミュージカルでライブ・エンターテイメントの世界でも躍進を続けるマーベラス。

企業動向 戦略
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メディアミックスのビジネス化のためにマーベラスを起業



―――セガでは、まずキャラクターライセンス事業を確立させて、その後トイホビーを担当されたと思うのですが、どうしてマーベラスを起業するに至ったのでしょうか?

僕はセガでゲームや玩具をやっていたのですが、その時にはゲームは1つのメディアとして確立されてきていました。ゲーム発のキャラクターや音楽、当時なら『ソニック』とか『バーチャファイター』が原作というポジションになってきたあたりで、それを横展開していくのは面白いなと思ったんです。今までみたいに権利をどこからか取ってきてゲームにくっつけるのではなく、逆の発想としてメディアミックスみたいなことをセガの中でもやろうとしていました。でも、いかんせんセガは図体が大きすぎて何をするにも時間がかかってしまうので、じゃあ自分でベンチャーとしてやったら面白いかなあというのが独立の最初のきっかけでした。



―――当時、中山隼雄氏がセガの社長を務められていたわけですが、会社に残って欲しいという話は無かったのでしょうか?

父も僕が独立して会社を作るって言った時は大賛成でした。反対は全くありませんでしたね。

―――会社を立ち上げて1番最初に音楽事業からスタートさせたのはなぜですか?

もともと設立趣意書に音楽・映像・ゲーム・ステージの事業をやるというのを書いていて、それらを融合させた新しいエンターテイメントソフトウェアの創造というのを経営理念にして、上場させるまでの5年間の中期計画を立てていました。これらの事業の中で1番リスクが少なかった音楽から始めたというだけなんです。原盤を借りてきてCDにするだけですので1番リスクが低かったんです。2年目からは映像をやり始めて、3年目からはゲーム、舞台、ゲームセンターとだんだんリスクが高くお金がかかるものを、お金が貯まるにしたがってやり始めました。5年目には今のマーベラスと同じ形が出来上がっていました。

未来はライブエンターテイメント



―――創業当時から続けている音楽ビジネスについてお聞きしたいのですが、パッケージものの販売が苦しいという現状の中で、今後の音楽ビジネスはどういう形で発展していくと考えられていますか?

やはりライブエンターテイメントではないでしょうか。舞台の2.5次元もそうですし、音楽コンサートもそうかもしれない。これだけはどんなにネット社会になっても、YouTubeでタダで見られようが、やはり生で体験するというのは違うじゃないですか。正直、音楽の販売価格自体がこれまでは高すぎたという気もします。今までは1枚のアルバムに10曲入って3000円という世界でしたが、制作費も格段に下がっていますので、異なるビジネスモデルが成立するようになったと想います。

―――ミュージカル『テニスの王子様』などのステージ事業について。ここまで大きくなるとは僕自身思ってなかったのですが、中山さん自身はどう思われていますか。当時からそこまでのビジネスになるという確信があったのでしょうか?

全然ありませんでしたが、日本のステージ産業の中で劇団四季や東宝さんのステージのように、ある一定の客層がずっとリピートしているような舞台の市場の中に新しい市場を作ろうとは思っていませんでした。今まで一度も劇場に行ったことがないような人たちを引っ張りたいというのが最初のコンセプトだったので、どこまで大きくなるか分からないけどやってみる価値はあるかなと思っていました。

ミュージカル『テニスの王子様』のステージは、お芝居を初めて見に来たようなお客さんを集められたと思うんです。これはやはり漫画原作を持ってきたことが良かったのではないでしょうか。これが若い俳優を集めた「ロミオとジュリエット」だったら、あんなにお客さんは入らなかったですよね。『テニスの王子様』だから新しいユーザーにステージの楽しさを体験してもらえたのだと。

―――『テニスの王子様』という題材も絶妙だったように思います

実は『テニスの王子様』より前にやった『ミュージカル HUNTER×HUNTER』のステージが、マーベラスとして最初の2.5次元でした。これは竹内順子さんがゴン、三橋加奈子さんがキルア、というようにアニメと同じ声優をそのまま舞台に上げました。声優さんに立ってもらえればそのまま成立するという稀有な例でした。

その時に気づいたのが、『HUNTER×HUNTER』は男の子にも女の子にも人気があるのに、来場者は100パーセント女性だったんです。女性の声優も舞台に出ているのに…それで、なるほど、男は舞台に来ないんだなと。未だに思っているのですが、男性は時間にあまりお金を使わないのです。だったらゲームソフトを買おうとか、モノが残らないと勿体ないという感じです。女性は旅行や舞台といった時間にお金を使ってくれるので、これは女性をターゲットにしたものを作らないとだめだと思ったのです。

それで、自分たちが使っているアニメとかで何かないかとなった時に「テニスの王子様」のアニメDVDがあり、これって完全に女性人気じゃないかと…。当時考えていた事業コンセプトは、とにかく女性に人気があってキャラクターがいっぱいいて、その人気がばらけていること。いくつかの条件が見えてきた時に「テニスの王子様」がいいのではないかとなりました。

ただ、『HUNTER×HUNTER』と違って声優さんにそのまま演じてもらうのは難しく、とにかくキャラクターに似ている人間を無名であっても集めてキャスティングしていきました。当時は、舞台は舞台の人たち、テレビにはテレビの人たちみたいに(カテゴリー毎に)完全に分化していて、人気俳優なんて到底出演してくれるわけないような状況もありました。無名でも何でも、越前リョーマを知っていたらそれでよかったんです。お客さんは1番最初にキャラクターを好きで来てくれるし、ストーリーを知っているし、テニスをするのもわかっている。だから、それなりのことをやれば、きっと頭の中で思い描いてくれるだろうと。お客さんに想像してもらうことも含めて1つの舞台、というような発想だったので、テニスは光と音でやって、演技が下手でも踊れなくてもとにかく似ていれば良しとしました。

―――でも、そこから城田優君とかスターが出てきてますよね。

2代目で城田優さんが入ってきたときは、彼は来るなと思いましたね。初めて見たときから城田さんはズバ抜けてましたよ。歌上手いしキャラクターもいいし。バラエティとかもいけそうだし。なんでもいけそうだなと。

―――最近では『刀剣乱舞』とか『弱虫ペダル』とかますます増えていますが、このビジネスが第4四半期に大きくなって売上的にもかなり貢献していますよね。

そうですね。今ではうちのリクルーティングにも役に立っています。『テニスの王子様』とか『弱虫ペダル』の舞台をやってる会社ね、と。

次のページ: 今期はパッケージゲームに期待
《Daisuke Sato》

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