遂に幕を閉じる「Steam Greenlight」がValveにもたらした恩恵、そして今後の道筋とは? | GameBusiness.jp

遂に幕を閉じる「Steam Greenlight」がValveにもたらした恩恵、そして今後の道筋とは?

ゲーム配信プラットフォーム“Steam”を運営するValveは、インディーゲームを始めとした、一部契約業者以外のゲームを出品するためのシステム「Steam Greenlight」を2017年春終了することを告知するブログエントリを公開しています。

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ゲーム配信プラットフォーム“Steam”を運営するValveは、インディーゲームを始めとした、一部契約業者以外のゲームを出品するためのシステム「Steam Greenlight」を2017年春終了することを告知するブログエントリを公開しています。

このエントリでは、「Valveではすばらしいコンテンツとユーザーをどれだけうまくつなげることができたかで満足度をはかっています。その上で、目標達成には、多種多様なすべてのユーザーが好むゲームを社内の少人数だけで予測するという状況から脱する必要があることに気がつきました。」として、厳格に管理されたストアから、より直接的な流通モデルへと少しずつ移行してきたこと、その最大の障害として残っている「Steam Greenlight」を削除することを説明しています。

「Steam Greenlight」は2012年7月の発表から1月後、2012年8月末にその産声を上げました。インディーゲーム開発者が自身のゲームをSteam上でリリースするためのアピールをユーザー・Valve双方へと行い、それ以前のSteamでは考えられなかったような、しかしユーザーの望むタイトルを発売に至らせる事を目的としていたこのシステム。開始当初は相当な人気を誇らない限りは通過は危ぶまれるほどで、高いハードルを持っていましたが、年を追う毎にハードルは段階的に非常に低いラインへと引き下げられており、2016年度だけでSteamタイトル全体の約4割となる4,207本以上ものゲームがSteamでリリースされることになる一因にも繋がりました。

また、開始当初は性的なテーマを持つアドベンチャーゲーム『Seduce Me』が、ValveによりGreenlightから“攻撃的なコンテンツ”として削除されたといったケースも存在。しかし、その後の『Sakura Spirit』『ネコぱら』などのスマッシュヒットや、強い性的なテーマと表現を持つパズルゲーム『HuniePop』の登場、日本産・海外産を問わずその他の数々のビジュアルノベルのリリースを経て、『黄雷のガクトゥーン』『Ladykiller in a Bind』などの規制無しでのリリースが可能なほどとなっています。



更には2010年の時点ではValveは“弊社のサービスに向いていない”として、いわゆる「ビジュアルノベル」のSteam上での販売を認めていませんでした。これはアニメ化もされた『ひぐらしのなく頃に』海外版を配信しているMangaGamerが当時、同作のSteam配信をValveに対し打診した際にそう言われたと明かしたもの。なお、その後Greenlightを通し『ひぐらしのなく頃に』は無事Steam上にて配信されています。これら「ビジュアルノベル」は今回のブログエントリでも名指しで言及されており、Valveの姿勢の変化を大きく象徴するものでしょう。

また、バイオレンスシューター『Hatred』が、こちらもValveによりGreenlightから公開停止されたものの、Valve社CEO、Gabe Newell氏によって「Steamはクリエイターとユーザーのための制作ツールであるべきだ」として後に処分が取り消され、無事販売へと至ったことも印象深い所です。

Valveは、このエントリ内で「これまでGreenlight は多くの開発者のゲーム公開への障壁を下げ、Steamに数多くのすばらしいゲームをもたらしました。100万ドル以上を売り上げたGreenlightタイトル数は今では100を超えており、その多くはかつての厳重に管理されたストアではおそらく公開されていなかったものです。このようなタイトルの予想外の成功によって、Steamにはそれぞれ異なる体験を求めている様々なユーザーが存在していることが明白となりました。」と語っています。

「Steam Greenlight」は終了となりますが、これはもちろんSteamへのゲームの出品システムが無くなってしまうことを意味していません。代わりに、より直接的なサインアップシステムとして「Steam Direct」が2017年春開始となることが発表されています。この「Steam Direct」では、新規に登録する開発者は、銀行口座の開設プロセスと同じように、税務書類、個人または企業の確認情報、デジタル書類の一式を提出し、セットアップが完了したら、配信したい新しいタイトルごとに後で取り戻すことができる申請料を支払うことになるとのことです。申請料は悪戯防止を主目的としたもので、まだ検討中であるものの、100ドルから5,000ドルの範囲で、更なるフィードバックを集めながら決定していくとしています。

なお、Gabe Newell氏は、Greenlightの発展的解消のための廃止を2014年のSteam Dev Daysにて発言しており、近年のSteamの動きや今回公開されたブログエントリを考えれば、新たに始まることとなる「Steam Direct」は当初の目的通りのものとなる事が期待できるでしょう。

Valveは、これからも“Steam のショッピング体験、コンテンツパイプライン、そしてその間にある全てのプロセスのイテレーションを続けていく”としており、先日、開発中と思われるファイルが発見された“SteamU”を始めとして今後にも注目が集まる所です。
《Arkblade》

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