サーバーの開発なしで『パズドラ』『モンスト』を開発できるように…Game Server Servicesが描くゲーム開発の未来 2ページ目 | GameBusiness.jp

サーバーの開発なしで『パズドラ』『モンスト』を開発できるように…Game Server Servicesが描くゲーム開発の未来

サーバーの開発なしで『パズドラ』『モンスト』並のゲームが開発できるように―と語るのはGame Server Servicesの丹羽一智氏。DeNAやKLabなど4社から大規模な資金調達を終えた丹羽氏に、同社の展望や今後「ゲームサーバー」のあり方を伺いました。

ゲーム開発 サーバー・ホスティング
Game Server Services 丹羽一智代表取締役社長
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  • Game Server Services 丹羽一智代表取締役社長
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◆開発力のあるデベロッパーに使って欲しい…「GS2」に込めた想い


――ありがとうございます。もう少し「GS2」の話を伺いたいのですが、いまターゲットとして狙っているのはどういったユーザー層なのでしょうか。

丹羽:一番使ってほしいと思っているのは、家庭用ゲーム機の下請け開発をされているような会社さんですね。具体的には良いゲームを作る技術を持っているものの、サーバーのことがわからないという方達です。どれだけ良いゲームを開発できても、ネットワーク開発の知識がない会社さんが少なくないので、そうした方達に是非利用していただき、大ヒットタイトルを制作していただきたいと思っています。

――個人や同人レベルでやっている方もターゲットになるのでしょうか。

丹羽:そうですね。現状個人や小規模のグループで開発するモバイルゲームは、“買い切りモデル”か“広告モデル”かという2つの選択肢しかなく、買い切りでもコンシューマーゲームの単価とは比較にならず、とてもゲーム開発だけで生活ができるレベルの収益にするには大変だと聞いています。日本においては、F2P(基本無料アイテム課金制)のモデルが未だに主流でなので、「GS2」では課金通貨の管理やガチャ機能の導入なども簡単に実装できるようにしています。さらに、流通額が一定を越えるまでは費用がほとんどかからないので、個人レベルの開発者の方にも導入していただきやすいサービス形態になっています。

――現在利用されているユーザーさんはどのような方が多いのでしょうか。

丹羽:今は小規模な法人がメインです。個人のユーザーはまだまだ少ないので、これから増やしていきたいなと考えています。どうしてもすごい勢いで課金されていくのではないかという不安も強いのかもしれません。

――そうした方のために、無料枠などは準備されているのでしょうか。

丹羽:登録時に付与される無料枠では、最初の1年間については、最低スペックではありますが、全てのサービスを無料でご利用頂けます。通常であればサービスあたり月額1500円~2000円程度のサービスです。

また、APIのアクセスは1000回あたり3円ほどかかりますが、大半のサービスで10万回のアクセスは期間を設けず、常時無料でお使い頂けるようにしています。さらにアカウント登録して頂くと、3ヶ月間で3万円の無料クーポンも提供しており、登録の際に、クレジットカードを認証して頂く必要もありません。まずはお気軽に触って頂きたいなと。

――「GS2」の実装が楽になるような仕組みはありますか。

丹羽:現在 Unity向けのSDKを提供していて、現時点では一部なのですが、ドラッグアンドドロップで「GS2」のサービスを導入できます。「簡単そうだけど、やっぱりよくわからないし怖い」という方に、ぜひ試していただきたいですね。

――モバイルがメインターゲットということですが、コンシューマー、PCタイトルでも利用することは可能なのでしょうか。

丹羽:先ほどもお話したように、メインターゲットはモバイルゲームの開発者ですが、もちろんお使い頂けます。最近は、家庭用ゲーム機でもF2Pのゲームが多くなってきましたし、モバイルとコンソールのクロスプラットフォームで運用したいという要望も増えてきて、ますますゲームサーバーのニーズが高まっているように思います。内製でサーバーを開発・運用するとなると大きなコストになりますが、そうした負担を「GS2」で解消したいですね。

マイクロソフト、Amazonが買収する注目分野…今後の展望は?


――マクロな視点でもお話を伺いたいのですが、事業を展開する中で、競合他社としてベンチマークしている企業はありますか?

丹羽:実は、我々と同じようなサービスを提供する会社は、弊社を含めても世界で3社しかありません。1つはGameSparks、もう1つがPlayFabというどちらも海外の企業です。ちなみに、GameSparksはAmazonに、PlayFabも先日マイクロソフトに買収されました。

モバイルゲームの制作をしている方はわかると思うのですが、海外向けのタイトルと日本向けのタイトルでは、仕様から何から大きく違うんですね。例えば、日本ではガチャを前提としたゲームシステムが構築されていますが、海外はまだまだガチャには慎重で、昨今法規制も話題になるなど、社会的に受け入れられているとは思えない状況です。そのため、海外のゲームサーバーの開発エンジニアが考えるシステムと、日本にいる私が考えるシステムは全く異なるものになると考えています。我々としては、日本のゲームにフォーカスをして、日本だけでなくアジア圏、特に台湾・韓国・中国のユーザーにマッチするゲームを開発できるサーバーにしたいと思っています。

――そこで違いを生み出すということですね。ところで、PlayFabやGameSparksでは、ゲームサーバーとしての機能だけでなく、アナリティクスにも強みがありますよね。

丹羽:アナリティクスもいずれはやりたいと思っていますが、今は『パズル&ドラゴンズ』や『モンスターストライク』のようなゲームでも、サーバー開発を一切せずに作れるという状況を、いち早く実現しようと開発を進めています。現時点では、機能が足りていない部分が多々ありますが、今回調達した資金を元に、開発人員を増やして進めていこうと思っています。

Game Server Services 丹羽一智代表取締役社長

――今回のような大きな出資は初めてだったのでしょうか。

丹羽:ここまでの規模は初めてですが、2016年にワンダープラネットに出資していただきました。ワンダープラネットは愛知が拠点で、弊社も愛知にあるというご縁から、資金調達含め、色々とサポートしてもらっています。

――今回、出資した4社はGame Server Servicesのどこに魅力を感じて出資に至ったのでしょうか。

丹羽:各社さんそれぞれ想いはあると思うのですが、まだサービスとしてもこれからというフェーズですし、しっかり理念を共有した上で、このサービスの将来性に期待してくれたのだと思います。ディー・エヌ・エーさん、KLabさんからは実際にユーザーとしての視点でアドバイスを頂きながらチームとしてより良いサービスを作って行きたいと思いますし、GameWithさんを通じて様々なデベロッパーさんとも繋がっていきたいと思っています。

――もう今後の具体的な開発スケジュールは決まっているのでしょうか。

丹羽:先ほどもお話したように、1年後ぐらいにはなんとか『パズドラ』『モンスト』のようなゲームを、サーバー開発なしで運用できるサービスを提供したいと考えています。そのために開発が必要な機能を洗い出し、具体的にスケジュールに落とし込んで動き始めた段階ですね。もし興味がある開発者さんがいましたら、今声をかけていただければ、「GS2」の機能開発と足並みを揃えてリリースまでお手伝いできると思うので、ぜひご連絡ください。

次ページ:日本が2度目の失敗をしないために…
《宮崎紘輔》

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