クロスオーバー対戦格闘『Blade Strangers』開発インタビュー!“格闘ゲーム”の間口を広げたい【BitSummit Vol.6】 | GameBusiness.jp

クロスオーバー対戦格闘『Blade Strangers』開発インタビュー!“格闘ゲーム”の間口を広げたい【BitSummit Vol.6】

先日開催された「BitSummit Vol.6」。今回Game*Sparkでは、様々なインディーキャラが集う対戦格闘『Blade Strangers』開発のスタジオ最前線の代表取締役、及びイラストレーターとしても知られる近藤敏信氏への、同作についてのミニインタビューの様子をお届けします。

ゲーム開発 インディー
クロスオーバー対戦格闘『Blade Strangers』開発インタビュー!“格闘ゲーム”の間口を広げたい【BitSummit Vol.6】
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2018年5月12日から13日にかけて京都市勧業館・みやこめっせにて開催された「BitSummit Vol.6」。Pikiiブースでは様々なインディーキャラが集う対戦格闘『Blade Strangers』が展示されていました。今回Game*Sparkでは、同作開発元である、スタジオ最前線の代表取締役、及びイラストレーターとしても知られる近藤敏信氏へ、同作についてミニインタビューしました。

『Blade Strangers』は、『海腹川背』や、『コード・オブ・プリンセス』、『洞窟物語』などのキャラが共に戦う対戦格闘ゲーム。BitSummitの開催に合わせる形で、新規の参戦キャラとして『ガンヴォルト』シリーズより“ガンヴォルト”、『The Binding of Isaac』より“Issac”、『ショベルナイト』より“ショベルナイト”のゲスト参戦が明らかにされていました。





――まずは簡単に自己紹介をお願い致します。

近藤敏信氏(以下、近藤氏):スタジオ最前線を代表しております近藤です。スタジオ最前線は、今年20年以上になるスタジオで、お陰様でずっとゲーム制作に携わっています。

――今回『Blade Strangers』の開発に至った経緯についてお聞かせ下さい。

近藤氏:最初、うちの会社(スタジオ最前線)で格闘ゲームを作りたいなと、『ブレードアークス』という作品をセガさんと作っていたのですが、それに続いて、もう一作。『ブレードアークス』での経験を踏まえて作ってみたかったというのがスタート地点ですね。

――そうなると今作が『ブレード』シリーズ2作目と言った形ですね。

近藤氏:ですね、ただ“シリーズ”といってしまうと違いまして、中身としての関連はないのですが、「スタジオ最前線で作る格闘ゲームなのでタイトルに『ブレード』付けとくか」みたいな(笑)実際のゲーム上では剣を使うキャラクターも多いのでイメージにも一致しますし。

――『ブレードアークス』ではオンライン対戦はありませんでした(筆注:海外Steam版『ブレードアークス』では国内コンシューマ版と異なりオンライン対戦が実装済み。しかしながら、記事執筆時点では日本からの購入は不可能となっている)が、今作ではオンライン実装ということで、苦労した点などありましたらお聞かせ下さい。

近藤氏:うちの会社的には3DSの『コード・オブ・プリンセス』の頃からオンラインに対応していますので、オンライン実装自体には苦労しませんでした。ただ、企画的には色々と思うところありまして、今までの格闘ゲームとは一味違ったオンラインの遊び方というのを実装していますので、楽しんでもらえるんじゃないかなと。

――それはまだ内緒、ということでしょうか。ぜひヒントをいただきたいです。

近藤氏:内緒というほどでもないですが、順を追って発表されていくと思いますので、ちょっとした先出し情報と考えていただければ。コンセプトだけで言うと、うちではカードゲームやそのルールなども手がけていまして、大会の運営方法や大会のルールによって盛り上がったり盛り上がらなかったり。カードゲーム自体は同じでも遊ぶ環境で差が出てくるんですよね。そういう意味で、ゲーム自体を面白くするのも重要なんですが、遊ぶ環境というものを含めて“遊び”である、という考え方をもって、格闘ゲームのオンライン対戦に変化を加えていけたらな、と考えて実装したアイディアですね。ヒントになってないかも知れませんが、楽しみにまっていてください。


――他の格闘ゲームと比べて、カードゲーム的な競技性を含んでいるモードがあるといったことでしょうか?

近藤氏:そうですね、そういうものも入っていますし、逆に、もっともっと気軽に、カジュアルに楽しめるものも入ってますね。幅広くいろいろな人に楽しめるように工夫したつもりです。

――なるほど、格闘ゲームは「e-Sports」的な競技性がクローズアップされることがありますが、そういった競技シーンについても展開されていくのでしょうか。

近藤氏:初心者向け、ということではなくて間口を広げたい、色んな人に遊んでほしいというところで作っているので、コマンドなどもなく、凄くシンプルなゲーム性になっています。なので、カジュアルに楽しめますが、より突き詰めていけば、ちゃんと格闘ゲームの駆け引きであったりとか、奥深さ、懐の深さ、今までの格闘ゲームが積み重ねてきた定石、戦い方といったもののノウハウはきっちりフィードバックしたつもりなので、e-Sportsとしてガンガンみんなが競技していくことにも堪え得るものになっているのではないかなと思います。

――格闘ゲームとしての系統としては、コンボ系であったり一撃が大きいタイプであったりといろいろなものがありますが、本作はどういったバランスになっているのでしょうか。

近藤氏:コマンドがないのでコンボは凄く簡単に出せます。ただ、極めようとすると、コンボの種類がすごくあるので、「この状況ではこのコンボを出したほうが良い」といったチョイスに目を向けると、誰でもコンボは出せるけれども、適切なコンボを用いて、しっかりとした駆け引きを行うためには練習が必要かなと思います。

――そうなると、コンボの駆け引きが重要といった形なのでしょうか?

近藤氏:全部ですね。コンボも、本当に有効なものをやろうと思ったら練習が必要ですし、駆け引きも重要です。いろいろなものが詰まっていて、上級者の戦いという意味で言えば、今までの格闘ゲームの経験など、“格闘ゲーム力”が凄く出ますね。初心者同士の戦いでも楽しく遊んでもらえているので割りと幅広い、懐が深い感じになったかなと思っています。


――『ブレードアークス』からのゲーム性の変化はどのようになっているのでしょうか。

近藤氏:やっぱり「コマンドがない」というのがとにかく大きいですね。コマンドをなくしてみると分かるのですが、普通にそうしただけだと格闘ゲームではなくなっちゃうんですよ。アクションゲームの対戦モード、といった雰囲気になってしまって。今までにもコマンドがないようなタイプの格闘ゲームが発売されていますが、戦略性・ゲーム性が独特のものになってしまっていますね。本作では、凄いシンプル操作なんだけれども、突き詰めていった先にあるものとして、いろんな格闘ゲームを濃縮したような要素があるという形になっているので、「シンプル操作なんだけれども、確かにこれは“格闘ゲーム”だ」という初めてのゲームではないかな、と個人的には思っています。

――新境地を目指すと。

近藤氏:そうですね。ただ、凄く新しい何か、ということではなくて、自分たちは格闘ゲームにハマって、もの凄く遊んできているのですが、近年格闘ゲームの間口が狭まってきてしまっているので、自分たちが楽しんだ“格闘ゲーム”というものをより間口を広げて、沢山の人に「この面白さを一緒に楽しもうぜ」っていうのをコンセプトとしています。

――次に本作の特徴でもある、いろいろな作品からのキャラクター参戦という点についてお聞きしたいのですが。

近藤氏:昔のゲームでは、一個のゲームなんだけどキャラクターがバリエーションに富んでいたというのがありました。今は、世界観という部分でキャラクターが纏められていて、凄くちゃんとしてるのですが、昔の良い意味での“ごちゃまぜ感”というかそういうものが薄くなってしまったなと思っています。自分はそういうごちゃまぜみたいなものが好きなので、何も気にせず、使いたいキャラを集めようぜ、みたいなというのが根底にあったという感じですね。

――では企画の段階から、オールスター的なものになるのは決まっていたと。

近藤氏:そうですね。ゲームをまたいで、クロスオーバーで行こう、と。

――各作品のキャラクター、その持っている世界観を格闘ゲームに落とし込むという部分について、気をつけたことなどはあるのでしょうか?

近藤氏:自分たちもずっとゲームを作ってきていますので、キャラクターに対する愛みたいなものというのは当然あって。お客さんにもそういうものがあるのは分かっています。単なるビジネスとして、このキャラを入れようということではなくて、追加キャラについては、うちのスタッフで「本当にこのゲーム大好きなんだ、絶対入れてくれ」というような人物がいる所はマストとした感じですね。(BitSummitに合わせて)色々クロスオーバーキャラが発表されましたけど、当然そのキャラクターたちが大好きなスタッフが居るので、その人間が「いや、格闘ゲームでこのキャラが動くんだったらこうでしょう」とやっていたと、そういうかたちになっています。

――今回追加されたキャラだと“ガンヴォルト”の超必殺技の演出とかはその賜物ですね。

近藤氏:はい(笑)“ガンヴォルト”は凄く好きなスタッフが多いので、そういうのが要素として詰まってますね。


――逆にスタジオ最前線のオリジナルキャラクターについては、当時の開発スタッフなどが手がけている感じなのでしょうか。

近藤氏:自社の作品ですので。例えば『海腹川背』についてですが、あの作品にはストーリーがありませんでした。キャラクターを『さよなら 海腹川背』で、“ノッコさん”と“江美子ちゃん”の2人追加したのですが、キャラクターが増えただけで、バックボーンとかキャラクター性とか伝えられない部分があるので、その辺りを逆にこのゲームで膨らませるというか、「こういうキャラだったんだよ」という、思い描いていたようなものをこの機会に形にしているという感じですね。

――海腹川背さんといえば、ハードな裏設定もあったキャラでしたが、その辺りも遂に少し明らかになると。

近藤氏:そうですね。もう少し明らかになり、川背さんももう一段掘り下げた形でストーリーが入っています。

――今作のストーリーについて具体的な話がまだ聞こえてきていませんが、戦闘前後に少し会話があるようなもの、もしくはノベル的にガッツリとしたもの、どちらになるのでしょうか?

近藤氏:そこまでガッツリした内容ではなく、いわゆるスタンダードな、戦闘前後にアドベンチャーシーンがある内容ですね。それでもそれなりのシナリオ量というか、内容がちゃんとあるものにできたかなと思っています。“ごちゃまぜ”が先にあったので、「でもごちゃまぜをどうしよう、シナリオ的には統一しないといけない」ということで、どんな世界観、どの様なストーリーで各キャラクターをおさめていくんだろう、みたいなところに結構時間がかかりました。

悩んだのですが、そこは結構面白い世界観を設定できたので、そこを発売後皆さんに楽しんでもらえたらなと。また、謎解きと言うと大げさですが、ネタもいろいろ散らばらせているので、発売後にみなさんと一緒に「あそこはああいうことなんだ」的な部分を楽しんでいければと思います。元のゲームをやっている人もクスリとできるようなネタもあります。

――最後に、ユーザーに向けて今作のここを一番遊んで欲しい、という点についてお聞かせ下さい。

近藤氏:今回は、がんばってかなり間口を広げたつもりです。格闘ゲームは難しそうだからなぁというイメージをもたれてる方もいるかも知れませんが、まずは数回遊んでもらえれば、「あれ?結構操作できるぞ!」とか「格ゲー面白いな!」とか感じてもらえるんじゃないかなと思うんです。アーケード版もリリースされますので、アーケードで友だちと遊んでもらったりして、楽しそうだったらコンシューマ版も買ってもらって、ガッツリ遊んでもらうのも良いのではないかと思っています。とにかくぜひ触ってみてほしいですね。

――ありがとうございました。
《Arkblade@Game*Spark》

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