ゲームはより深化し、進化する ― 『アイアン・スローン』開発会社CEOが見据えるこれからのモバイルゲーム | GameBusiness.jp

ゲームはより深化し、進化する ― 『アイアン・スローン』開発会社CEOが見据えるこれからのモバイルゲーム

ネットマーブルの新作『アイアン・スローン』が5月16日に全世界251地域での配信を開始しました。本作を手掛けた韓国のデベロッパー4PLATの姜在鎬CEOに、本作の魅力やゲーム作りのポイント、今後のゲーム業界についてインタビューを敢行しました。

ゲーム開発 プロデュース

4PLATの姜在鎬(カン・ジェホ)CEO
4PLATの姜在鎬(カン・ジェホ)CEO 全 5 枚 拡大写真
ネットマーブルが5月16日にリリースした『アイアン・スローン』は、全世界251地域で配信され、全ユーザーが1つのサーバーでプレイするMMOストラテジーゲームです。開発は韓国に拠点を置く、Netmarbleのグループ会社でもある4PLATが担当し、高画質なグラフィックや、これまでのストラテジーゲームの枠に収まらない多様なゲームプレイが魅力のタイトルとなっています。

編集部ではリリース後間もない5月末、開発を担当した4PLATの姜在鎬(カン・ジェホ)CEOに本作の開発の裏側や、韓国デベロッパーが考えるゲーム作り、そしてこれからのマーケットについてお話を伺いました。

4PLATの姜在鎬(カン・ジェホ)CEO
4PLATの姜在鎬(カン・ジェホ)CEO


――本日はよろしくお願いします。姜さんは日本に留学されていたんですよね。

姜在鎬氏(以下、敬称略)大学院までは韓国で過ごしていたのですが、大学院で日本地域学を専攻したことで「日本に行きたい」という気持ちが芽生え、日本の文部科学省が行っている国費外国人留学生制度を活用し来日しました。

来日後は、東京大学の経済学部で現代経済を専攻し勉強していましたが、ちょうどその頃にインターネット事業を立ち上げることになり、そこから5年ほどはウェブ制作やウェブソリューション事業を自分の会社でやっていました。その後、会社はアドミラルシステム(現・株式会社ASJ)に売却し、インターネット事業からゲーム事業へと軸足を移していったんです。

以降はゲームオンに入社し新規ビジネスなどを担当していたのですが、2009年にiPhoneと出会った時に衝撃を受けて、「これは大きなビジネスになる」と確信しました。当時もモバイルコンテンツやゲームに関する業務に関わっていましたが、より本格的にやろうと決心し、2012年に韓国に帰国して4PLATを創業したんです。そして2015年にはネットマーブルの傘下に入り、『アイアン・スローン』の開発をすることになりました。

ネットマーブルのグループに加入するまでは、半年や10ヶ月で1本を開発するペースでしたが、“世界一を狙う”というネットマーブルの高い志のもと、これまでよりも長い開発期間と人材を投入して完成したのが『アイアン・スローン』です。2017年10月にオーストラリアやフランス、トルコでソフトローンチを行い、晴れて5月16日に全世界251地域でグローバルローンチすることができました。

――ゲームをプレイさせていただきましたが、かなりリッチでゲームプレイの要素も多いと感じました。開発期間としては具体的にどれぐらいかかったのでしょうか。

50人体制で2年半かけて開発しました。

――開発者として『アイアン・スローン』のおすすめポイントを教えてください。

私は日本のゲーム業界にいたときに感じたユーザーさんの特徴は“幅の広さ”です。その幅広いユーザー層から我々がターゲットにしたのは海外ゲームが好きなユーザー、そしてストラテジージャンルが好きなユーザーです。『アイアン・スローン』はその2つのユーザーをメインターゲットとしましたが、よりカジュアルなユーザーでも戦略ゲームが楽しめるように工夫しました。

なので、おすすめのポイントはそういった幅広いユーザーのニーズに応えられる「多様さ」です。例えば戦闘ひとつとっても、ベーシックなストラテジーゲーム要素はもちろん、一人用RPGのように遊べる「タウンモード」や、アリーナやバトルロイヤルモードなどPvPの要素も詰め込みました。多くのストラテジーゲームが抱える課題として、ある程度成長してしまうとやることがなくなる時期があるということがあげられます。レベルアップすると、戦闘に負けた場合に失う資源が多くなるため、あえて戦わずに平和を維持する方を選択するユーザーが増えるんです。しかし、やはりゲームですから、毎日プレイして頂くためにはどうすればいいかということを考えゲーム全体をデザインしました。

――ユーザーのレビューを見ていても、ずっと遊べるというようなコメントが多く見られます。

私は日本のギルドに入っていますが、「やることがたくさんで忙しい」というギルドメンバーの声を聞くと嬉しくなりますね。

――モバイルゲームも増え、チュートリアルで脱落するユーザーも多いと思いますが、本作ではどういうところに気を使いましたか。

導入は見た目のインパクトを重視したかったので、最初にワールドではなく城を制作しました。3Dグラフィックで立体感があり、その中で動いている人々を見ながら、城全体を見渡せるという最初のインパクトを与えたいと思いました。何よりも私自身が見たかったというのもありますね(笑)。

しかし、見た目のインパクトは1日目で終わってしまいます。2日目以降はプレイしているコンテンツの楽しさが重要なので、先ほどもお話したバラエティに富んだ楽しいコンテンツを多数導入し、それを押しつけるわけではなく、自由度を高く選択していただけるようにしました。

――確かにオープニングやゲーム途中の城の描写は非常にリッチだと感じました。

ありがとうございます。しかしモバイルゲームの特性上、容量は極力抑えることを意識しました。Unityで開発したのですが、結果としてはストアからのダウンロード容量はGoogle Playで73MB、App Storeで137MBしかありません。もちろん全体容量はもう少し大きくなるのですが、オープニング開始後からバックグラウンドで行われる追加データも230MBほどに抑え、タウンモードのアンロック時も60MB程度の追加ダウンロードとなっています。

――昨今のゲームアプリと比べると相当軽いですよね。

音声を含め全体で470MBほどなので相当低容量ではないかと思います。最近は1GBを超えるゲームも多いですが、グローバルローンチなので、東南アジアといったネットワークが遅い地域やスペックが低いスマートフォンを使っている地域も含んでいることを念頭において設計しました。

――低容量に圧縮することで大変だった点はありますか?

よく低容量というと、データを圧縮していると受け取られがちなのですが、そこまで圧縮に注力しているわけではありません。3Dデータの特性もあるので、一番苦労したのは“いかにテクスチャを再利用するか”ということなると思います。

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《宮崎紘輔》

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