『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』でララは復讐に染まってしまうのか?Eidos Montrealスタジオヘッドに見どころを聞く | GameBusiness.jp

『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』でララは復讐に染まってしまうのか?Eidos Montrealスタジオヘッドに見どころを聞く

E3開催直前の6月某日、スクウェア・エニックス本社に『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』開発スタジオ・Eidos Montrealのスタジオヘッドを務めるDavid Anfossi氏が来日しました。

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『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』でララは復讐に染まってしまうのか?Eidos Montrealスタジオヘッドに見どころを聞く
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E3開催直前の6月某日、スクウェア・エニックス本社に『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』開発スタジオ・Eidos Montrealのスタジオヘッドを務めるDavid Anfossi氏が来日しました。

Eidos Montrealは『Deus Ex』シリーズやリブート版『Thief』の開発スタジオとして知られています。今回、多忙な合間を縫っていただきインタビューの時間を作っていただきました。本作の見どころはもちろん、同社が手掛けたIPの今後についても伺うことができました。




――まずは自己紹介をお願いします。

Anfossi氏:Eidos Montrealの立ち上げメンバーで、『Deus Ex』ではプロデューサーを担当していました。現在はスタジオヘッドとして会社全体のストラテジーや開発サポートを担当しています。松田さん(松田洋祐氏、スクウェア・エニックス代表取締役社長)とも近しく作業をしております。ゲームを作るのが本当に好きなので現場に近いところにいるつもりです。

――ちなみに、松田社長はこのゲームを遊ばれてますか? そして遊んで意見を言われたりしますか?

Anfossi氏:大きな会社のCEOが実際にゲームをプレイするということはレアなことだと思いますが、松田さんはいつも開発現場に寄りそってくれて、モントリオールには定期的にいらしているのですが、先週も最新のバージョンをプレイされて「美しいゲーム」とおっしゃっていました。彼のサポートは我々からするととても心強いです。

――Eidosには『トゥームレイダー』だけでなく『Deus Ex』『Thief』などの世界的なフランチャイズを複数所有していますが、David氏から見て、『トゥームレイダー』シリーズをどう見ていますか?

Anfossi氏:『トゥームレイダー』のシリーズについてはもともとCrystal Dynamicsの開発タイトルですが、2013年のリブート版『トゥームレイダー』から一緒に協業するようになり、『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』ではより深く関わりを持つようになりました。とてもよく知ったシリーズですね。

――開発チームについて質問させてください。『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の開発チームは『Deus Ex』シリーズや『Thief』の開発チームによるものなのでしょうか?

Anfossi氏:『トゥームレイダー』『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』の開発に携わったチームがあり、彼らと新しいスタッフにより結成された新しいチームです。コアになるメンバーはこれまでの「トゥームレイダー」に携わったスタッフですが、さらに『Deus Ex』『Thief』の開発経験のあるスタッフも入っています。

――Eidos Montrealには何人のスタッフがいますか?

Anfossi氏:Eidos Montrealはカナダでもかなり大きな開発会社ですが、その中でも大規模のチームが『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』の開発に携わっています。

――本作はCrystal DynamicsとEidos Montrealの共同開発、ということになっていますが、スタッフの比率やリードスタッフの所属についても教えていただけますか?

Anfossi氏:プロジェクトが始まったころはCrystal Dynamicsと一緒に開発を進めていたのですが、今はEidos Montrealのスタッフだけで構成されています。リブート三部作の原案はCrystal Dynamicsが担当していますが、『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』では、ストーリーもEidos Montrealが担当しています。

――『Deus Ex』や『Thief』などとは異なるシリーズを開発するうえで影響しあった点はありますか?

Anfossi氏:『Deus Ex』や『Thief』といった過去作はすべてナラティブなストーリードリブンのゲームであることはお分かりいただけると思います。このEidos Montrealの強みが『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』には活かされているのではないかな、と思っています。キャラクターの個性を引きのばす、といったところですかね。また、『Deus Ex』からは、戦闘の要素などが本作には活かされています。

とても重要なことですが、『Deus Ex』にしても『Thief』にしても『トゥームレイダー』にしてもフランチャイズとしてはすでにあるもので、そこに対していかに敬意を払いつつもより良くしていくか、ということを念頭に置いて開発しています。

――今回は序盤のメキシコのシーンをプレイさせていただいたのですが、導入部が「トゥーム」らしくないような……『Deus Ex』や『Thief』での街のシーンをプレイしている感じになりました。

Anfossi氏:私も同意見です。実はあのシーンはあまりにも『Deus Ex』っぽいので製品版では調整を加える予定です(一同爆笑)。

――あのシーンは明るいお祭りのシーンから墓地、そして街の裏通りに進むにつれダークさが濃くなっていくのがいいですね。話は変わりまして、プレイアビリティなどでリブート作や『ライズ~』などの作品と変えた場所、変えなかった場所を教えていただけますか。

Anfossi氏:リブート版からの3部作としてのストーリーがあるので、それを締めくくる大役として、とてもいいものができたと感じております。クリエイター魂、ではありませんが、Eidos Montrealがシグネチャーとして『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』を作った、と誇れるような要素をゲーム内に盛り込んだつもりです。

――今回プレイさせていただいたバージョンは4月の発表会の物ですが、E3バージョンの見どころはどういったところだったのでしょうか。

Anfossi氏:4月の発表会では『トゥームレイダー』シリーズのファンの皆様にEidos Montrealが開発するけれど、ちゃんとフランチャイズにリスペクトを払った作品である、ということを伝えました。

E3では2つのデモを用意しました。一つはバトルに特化したデモで、ステルス要素や新たな武器、ジャングルを味方につけるといった要素が楽しめます。もう一つのデモでは『トゥームレイダー』シリーズ史上で一番大きな街、我々は“拠点”と呼んでいるのですが、こちらをお見せします。

――今回の拠点というのはどれくらい大きいものなのでしょうか?

Anfossi氏:とてもとても大きいです(笑)。Paititiという街なのですが、過去作の中でも一番大きい拠点になります。そこでは、どのミッションをプレイするかなどを選択することができます。『Deus Ex』でも大きな街を構築しましたが、その開発経験から学びました。

――バトルについての新情報も教えていただけますか?

Anfossi氏:本作ではジャングルが舞台になっているのですが、そこで活かされるのが恐怖感です。本作では“恐怖”がテーマになっているため、“恐怖を活かしたバトル”にしました。その一つに“ジャングルと一つになることで敵に対して恐怖を与える”、具体的には錯乱状態にさせ、その状態から同士討ちに持ち込むという手段が使えます。その方法はいくつかありまして、まずは敵を錯乱状態にする毒矢をクラフティングで作成することができます。また、敵をロープ付きの弓矢で狙い、ララが木の上から引っ張ることで木に吊るすことができ、それを見た敵が錯乱状態に陥ることもあります。

もう一つ、敵に恐怖を与える新しい手段として、ジャングルに無尽蔵にある“泥”を体に塗ってよりジャングルと一体化したステルスも用意しています。

――プレデターみたいですね!そういえば、リブート版『トゥーム』シリーズのララは傷がついたりして“汚れている”シーンが多いのですが、そういうのも意識して作られているんですか?

Anfossi氏:そうです。それがサバイバルです。


――今回試遊させていただいたパートなのですが、最後の最後にかなり“ショッキングな出来事”が入るのですが、このチャレンジングな表現をどういう考えで入れたのかを教えていただけますか。

Anfossi氏:まず最初に、この作品はフィクションであることを念頭においてください。ララはトリニティに対して強い復讐心を持っているために、あまりに周りが見えておらず、そんな中で彼女は究極の選択を求められてあのような結果になってしまいます。そのあとにジョナが登場して「すべてが君を中心に回っているわけではない!」とララをいさめようとするのですが、これがこの作品を通して描きたい内容です。ジョナが本作でのキーパーソンとなるところでもあって、ララにとってのバランスを保つ役割―ララが正気を保てるのはジョナのおかげであるとか、どうすれば復讐心に染まらないようにできるのかとか、そういったテーマを描きたかったため、このシーンをゲーム序盤に導入しました。

――『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』以降のことについてもお願いします。今後も『Deus Ex』や『Thief』の開発は続けていくのでしょうか?

Anfossi氏:現在3つのタイトルの開発を行っています。1つが『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』、もう一つがマーベルの『アベンジャーズ』タイトル。そして未発表のプロジェクトがもう一つあります。この3つで非常に忙しいのが現状です。それ以外にも常々インキュベーション、研究目的で開発を行っている小規模なチームがあります。現状多くは語れないのですが、将来どのようなゲームを開発していくか、というプランはあります。

――ゲームに使われる新しい技術-たとえばVRやARなどの研究は?

Anfossi氏:VRの開発に取り組んだのは、世界的にもEidos Montrealは早い方だったと思います。インキュベーションのチームにおいてはとても興味のある分野だと思います。ただそれと同時に、マーケットがどのように動くかもきちんと分析したうえで進めていきたいと思っています。


――スクウェア・エニックスグループ、という多彩なゲームの切り口を持ったグループの中にいてどのように考えてますか?

Anfossi氏:Eidos Montrealはゲーム業界全体を見渡しても、いいフランチャイズを持っている会社だと考えています。それらが今日まで継続されてきたのは、ファンの皆様が支えてくれたおかげでもあるので、これからも一緒にフランチャイズの未来を作っていきたいですね。Eidos Montrealではストーリードリブン、ストーリーに深みを持たせるのも得意としているところではありますが、さらにチャレンジングなことはないか、と常に前へ前へと進む気持ちは持つべきだと思います。その他のフランチャイズでも常に前に進めるような新しい技術であったり、やり方であったり、面白さを探していきたいと考えています。

――日本のチームとの協働-たとえば『Deus Ex(2011)』ではムービーシーンをヴィジュアルワークスが共同制作していますが、欧米での仕事のやり方と日本のそれで違うところを教えていただけますか?

Anfossi氏:まず、ヴィジュアルワークスの生守さん(生守一行氏。『Deus Ex』ではプリレンダCGのヴィジュアルワークス側ディレクター)と一緒にお仕事ができて光栄でした。彼らのような素晴らしいチームと一緒に仕事ができることは非常に有益ですし、違うチームが協力してくれることで、我々だけでは成しえない、より高いレベルの作品を作ることができると思っています。

――最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。

Anfossi氏:本作『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』は、リブート版トリロジーの最終作となり、ララがどうして“トゥームレイダー”になったのかが描かれます。ゲーム性という部分については、『トゥームレイダー』のフランチャイズに敬意を払いつつも新しい要素を数多く組み入れています。松田さんがおっしゃっていた「美しい」と感じるグラフィックもすべてのプラットフォームで堪能できるように心がけて開発しました。ご期待していただくとともに発売日をお待ちいただければと思います。

――本日はありがとうございました。


『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー』はPS4、Xbox One、Steamで9月14日発売予定。ダウンロード専売のデジタルデラックスエディション/クロフトエディションでは48時間のアーリーアクセスが付随します。また、日本において体験する機会も検討中とのことでした。
《岩井省吾@Game*Spark》

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