e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからのe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。■e-Sportsとは?e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。(ゲーム大辞典参照)第18回目となる今回は、プロゲーマーとして最前線で活躍しながら自身が代表取締役を務める株式会社忍ism(以下:忍ism)のももち氏、同社が運営するプロゲーミングチーム「Fudoh(不動)」所属の藤村(元ゆかどん)選手にインタビューを実施。日本のe-Sportsに関する憂いと展望を語っていただきました。世界で戦う二人は何を見て、何を感じているのか。その裏側に迫ります。――本日はよろしくお願いします。改めて自己紹介をお願いしますももち:Team Echo Foxに所属しているももちです。忍ismという法人を立ち上げて「Fudoh(不動)」というプロゲームチームを運営しています。藤村:藤村です。「Fudoh(不動)」に所属していて『ストリートファイターV』でCPT(Capcom Pro Tour)に参加して、プロゲーマーとして活動しています。――「Fudoh(不動)」は設立してからどのくらいでしょうか?ももち:2018年の3月から始動したので5ヶ月ぐらいですね。――ご自身もプレイヤーとしてチームにも所属してご活躍されていますが、自分でチームを設立しようと思ったきっかけは何だったのでしょうかももち:自分でチームを持ちたいなという夢は昔からありました。忍ismではイベント運営をしたり、若手の育成を事業として行っているのですが、育成していた子達も育ってきていて彼らに次のステップへ行くための場所を作りたかった。色々なタイミングが重なって「Fudoh(不動)」を立ち上げてみようかなというのがきっかけですね。――チーム名の由来は ももち:日本人は「不動」という言葉には馴染みがあると思うんですが、揺らがないとか動じないとか、試合でもそういうことができるチームにできたらいいなと思っていました。忍ism自体の「忍」っていうところで和名ですし。候補は色々あったんですが、不動という言葉が好きなので決めました。「不動ってかっこ付けすぎだよな」って言いながらも、結局1番最初に出た「Fudoh(不動)」になりました。――他にはどういう候補があったのでしょうかももち:中二病みたいなのがいっぱいありましたよ。「朧月夜」とか「陽炎」とか。漢字2文字で探すとすごく中二病の名前ばっかりなんですよね。――実際チームを作ってみてどうでしたかももち:まだ全然ピンと来ていないなというのが正直なところですね。――現在のメンバーは何名でしょうかももち:今は6名ですね。東京が3名、群馬1名、神奈川1名、富山1名です。――チーム運営はイメージ通りに動いている、という感じですか?ももち:好調です。所属選手が頑張ってくれたというのもあるので。ベテランプレイヤー枠でハイタニや藤村が入ってくれて、この2人は結果という意味ではすごく残してくれていて、不動を支えてくれている。この2名の存在はすごく大きいなと思っています。特に藤村はCPTランキング、世界ランキングでも1位なので、そこで「Fudoh(不動)」の名前を世界にも広めてくれて貢献してもらっています。ピンと来ていないという意味では、元々その2名は強かったので、自分のチーム作りだとかチームを育てるという意味では、まだ選手に助けられているなという思いの方が強いのです。20代が2人、10代が2人いるので、そういった若いプレイヤー達が「Fudoh(不動)」のサポートで活躍してくれる場が出てくれば、またチームとしてもワンステップ上に行けるかなというところなので、現状はこれからだなと思っています。――メンバー同士でコミュニケーションは頻繁に行うのでしょうか藤村:スタジオスカイで顔を合わせるので、お互いにアドバイスしあったりとかはしますね。練習だけのためではなくて、イベントなどでメンバーが上京するタイミングで、一緒に練習したりはしています。特にハイタニ選手とは一緒に海外に回って大体同じ部屋だったりするので、常に対戦したりだとかゲームをしたりして、お互いに理解を深めていっている感じですね。――どういった形でコミュニケーションを取っているのでしょうももち:格闘ゲームは1vs1ですが、技術の向上とかだったりで対戦はもちろんしますし、コミュニケーションを取ることでまたレベルが上がるので、チームが違っても、選手同士で一緒に練習したりとかはありますね。結果、その後の大会で当たったりはありますけど。――チーム結成から数ヶ月で結果を出していて、国内でトップレベルのチームにもなってきていますが、コツはあるのでしょうかももち:バランスが良いチームだなと思っています。ベテランの30代のプレイヤーが2人、中堅(格闘ゲームでは全然若手ですが)20代前半のプレイヤーが2名、将来性のある10代のプレイヤーが2名というバランスが取れたメンバー構成です。特に意識したわけではないですが、「Fudoh(不動)」のコンセプトに合うだとか、自分がプレイが好きだったりとか、サポートしたいなという子を集めた結果、バランスの良いチームになったので、そこは良かったなと思っています。――どういった基準でスカウトをしているのでしょうももち:プロゲーマーは、ゲームの上手さが1つの指標になると思うんですが、そういう意味では強さだけでは選んでいないというのが重要かなと思います。強ければいいというのはある種の1つの正解だと思うんですが、自分が2011年からプロ活動をしていてもう8年目ですが、強いことだけ、結果だけが全てではないなというのが自分の中ではあるので、強さだけでは選んでいません。若いプレイヤーが強くなって結果を残すというのは大事な一方で、それはそれとして「絶対結果を残せよ」というような感じで言っているわけでもありません。そこがポイントだと思います。――ももちさんはチームの中ではどういう立ち位置?ももち:オーナーではあるんですが、藤村、ハイタニに関しては自分でしっかり考えを持っていますし、強さももちろんあるので、ライバルだと思っています。藤村も自分のことをオーナーとも思っていないと思います(笑)。それはそれでいい関係かなと思っていて。あとは若手、育成選手という形でヤマグチ、ハク、ジョニィがそのまま「Fudoh(不動)」に入っていますが、育成選手の時よりも教えていないですね。育成選手の時はある程度指導していましたが、「Fudoh(不動)」に入った瞬間に1人のプレイヤーとしてみているので、高校生であってもある程度自立してほしいということで口出しは逆にしなくなりましたね。――オーナーとして意識していることはももち:自分もプレイヤーなので、プレイヤーの気持ちはわかっていると思っています。なので、プレイヤー第一でチーム作りはしたいなと思っています。プレイヤーじゃない方がオーナーになる場合が多いですが、「現地に大会で行って、大会のプレッシャーの中で結果に左右されてという苦悩」を実際に肌で感じたことのあるオーナーはいないと思うので、自分にしかできないチーム作りはできると思ってます。――チームを応援してくれる人を探すというのも1つの仕事だと思うんですが、そもそもスポンサーとは必要なのでしょうか。我々含めわからない人も多いかと思います。方法も様々ですしももち:そういった意味では単刀直入な話、世界規模でのプロツアーに挑むようなタイトルにも挑戦していくチーム運営を行わなければならないので、資金の部分だったり機材提供だったりといった面で支援していただけるとありがたいというか。現状、海外の場合はスポンサーを複数入れてチーム運営をするのが主流ですが、それと同じ流れが国内にも入ってきていると認識しています。自分も「Echo Fox」というチームに所属して、その中で実際のチーム運営を見てきて、自分もそういったスタイルというか形式を参考にしながら同じような形のモデルでやっているので、自分たちが選手やタイトルの価値を信じて投資するのは勿論ですが、それ以上に自分たち以外の皆さん、会社様に選手やタイトルの価値を見出して頂く、信じて頂くという意味でもスポンサーというのは必要な存在であると考えています。――プロゲーミングチームを持つことに対して所属しているEcho Fox側からは何も言われなかった?ももち:逆にこちらから提案しましたね。忍ismを始めるよという段階で、Echo Foxに所属しながら企業をすることになるので、やはり伝えておかないと、いうのはあったので「日本の活動は忍ismという法人を立ち上げてやるんですが、どう思いますか?」という形でお話はしました。当時はEvil Geniusesでしたが、Evil GeniusesにしてもEcho Foxにしてもどちらにしても「それはすごく良いことだ。日本で活動を広げることで、世界に広がるし、結果チームのためにもなるから是非頑張ってくれ」と応援していただけました。「Fudoh(不動)」に関しても、「応援するよ」と言っていただけました。――「結果を出さなきゃな」というプレッシャーはあるのでしょうかももち:そうですね。チームを持ったり忍ismを立ち上げた時もそうですが、それがあったからプレイヤーとしても終わったなと思われるのが嫌ですし、そういうのがあるから弱くなったというような言い訳みたいになるのも嫌なので。――スポンサーはお金や機材をいっぱい出してくれればどこでも良いというわけではないと思うのですが、どういうところと組みたいという希望はあったりするのでしょうか。ももち:そういった意味では「Fudoh(不動)」の選手も「強さだけではない」と言ったところと同じで、資金や機材を提供してくれるところであれば何でもいいっていうわけでもなくて、自分たちのことを応援してくれるとか、逆に自分たちも一緒に頑張りたいなとか、e-Sprots業界を盛り上げたりだとか、単純に一緒にやりたい、一緒に成長したい人が良いですね。どこまで行っても人と人の繋がりだと思っているので、そこはすごく大事にしています。――藤村さんは、「Fudoh(不動)」に入って約4ヶ月ですが、どうでしょうか藤村:若いチームメイトがいるというのが新鮮で。個人でやることは今までと変わりはないんですが、若い子達が若いのにものすごく真面目にゲームに取り組むんですね。今まで僕は他のプレイヤーに興味がなかったんですが、真剣に取り組んでいるのが伝わってくるんですね。終わったら質問もしてくるので成長したいっていう意思も伝わってきますし。成長を手伝ってあげたいという気持ちが芽生えたというのが「Fudoh(不動)」に入って新しく自分の中で変わったなというところです。――何故、今まで他のプレイヤーに興味なかったのでしょうももち:格ゲーマーは結構多いですよ。マイペースというか。――己を磨き上げるのに集中しているという感じでしょうか藤村:そうですね。強くなりたいって頑張っている人がいても関係ないですし、「頑張ってね」って感じじゃないですか。でもチームに入ったら同じチームになって、高校生がものすごい情熱を持ってゲームをやっているんですよ。それってすごいことじゃないですか。心を打たれたっていうわけではないですけど、この子達には頑張って欲しいなと思った感じですね。――ご自分のプレイに影響は出てきていますか藤村:ヤマグチとかは、元々無理だと言われていたヒット確認をやろうとしていて、実際完璧にはできないんですけど、結構できるようにはなっています。本来『ストリートファイターV』は、一昨年ぐらいは細かいヒット確認をやるのが基本無理だと思われていて、無理だと思われている中でやろうとしていて、意外とできるんじゃないかという話になっていました。ももち:日本で初めてじゃないですかね、本気でやろうとしたのは。実際すごい成功率も高くて。30歳を超えたプレイヤーは頭が硬いんですよ、新しいことにチャレンジだとか。今までの経験をもとに戦っていくので、新しいことができなかったり、調整ができないというのはあるんですが、若いプレイヤーは柔軟なので、何でもできると思って試すので、物怖じせずに30代のプレイヤーにこれできますよ、これどうですか?って言ってくるんですよ。一方おじさん達は、「そんなん無理だろう」「まだまだ経験浅いな」、みたいなことを言っているんですが、「あれ、確かに…」って急になるんですね。藤村:やっているっていうことが、失敗したら超リスクが高くて、リスクに対してリターンが薄すぎるのがあって、人間の感覚的に難しい部分があるので、早めにみんな諦めていた部分だったんです。海外のPunk選手とかまご選手とか同じキャラを使っていたプレイヤーが諦めていたことを平然とやってのけていて。僕は他のプレイヤーから影響を受けることはほぼなかったんですけど、自分が「だめだ」と思っていて排除していた考え方があっていることもあって、不可能が可能になることもあるんだなと。ヒット確認は最たるもので、ちょっとやって無理そうだなと諦めていたんですが、精度をどんどん上げていって、実戦でやるというのを実際に見せてもらったので、そういう感覚もすぐに否定するのではなくて、ある程度ちゃんと検証してゲームをやらなければならないな、という柔軟な考え方に変わってきましたね。――純粋に「やってみたい」という気持ちに突き動かされたんでしょうねももち:純粋ですよね。大人になったら先に考えちゃうじゃないですか。「これやってもこの先こうなるな、じゃあやめておこう」ってなるじゃないですか。でも若い子って、これやりたい、やってみよう、ってその先を考えてないんですよ。それが良いことだし、若い子ってそうあるべきだと思っています。それは大人のプレイヤーが学ぶべきことだなと思います。――一方で若手に、こういう魂や考え方を持って欲しいなど、足りないものがありますか?藤村:「Fudoh(不動)」というチームに入って、高校生とか20代とはいえ、プロとしてサポート(スポンサード)してもらっているんだったら、真剣にゲームをやっていかなきゃな、と。求められていることに対して真剣に向き合って、応えて行かなきゃなという。持っているとは思うんですが、それをしっかりと持ってやっていって欲しいですよね。――スポンサードされているのが、当たり前になってきてしまうところはあるかもしれないですねももち:人間どうしてもそういうところはあるんですが、やっぱり長年プロをやっているプレイヤーとかだと、今自分がいる状況そのものがありがたいことだと身にしみてわかっているので。その一方で若いプレイヤーは若いというだけでちやほやされるんですね。格闘ゲーム業界でいうとレアな存在ですし、若くて強ければ、極端な話どこかから声がかかったりだとか。格闘ゲーム業界って上が詰まっていて、そこからしっかり序列と言うか年代ごとに前に立つプレイヤーが詰まっていて、若いプレイヤーが一気にトップに躍り出て調子に乗るということもしにくいんですが、新しく出たゲームですとかある程度運要素が強いゲームとかですと、ぽっと出の、今まで何も積み重ねていないプレイヤーが全国大会で優勝するとかはありますよね。――ちやほやされたら誰でも調子に乗っちゃいますよね…ももち:それはしょうがないことだと思うんですけどね。今の格闘ゲーム業界もそれができづらいというだけで、できてしまえば調子に乗ると思います。藤村:そうなった時に、本当に調子に乗って周りを見なくなっちゃうとだめじゃないですか。なので、プロになったからそれで満足とか、ちやほやされだして、もっとちやほやされたいとか、ゲームで強くなるという目的以外がメインの目的に変わってしまう人っているんですよね。大きい大会で優勝して、一時的にちやほやされた時に、自分の強さを周りの人達と相対的に見て、浮かれないでほしいですね。――藤村さんが「Fudoh(不動)」に入ったきっかけは何だったのでしょうか藤村:きっかけか…。ももち:きっかけという意味では、一緒にやらないかって声をかけたことじゃないですかね。藤村:オファーをいただいて、僕には良い条件だなと思えたので(笑)――他にもチームがいっぱいあるじゃないですか藤村:何故ももちさんを選んだかというと、ももちさんってプレイヤーじゃないですか。スポンサードをたくさんしてもらえていると、その分イベント出演や広告出演など仕事を振られるからじゃないですか。でも、ももちさんはプレイヤーがプレイヤーとして、できる限り選手に負担がないような形でやっていくと。選手の意見もできる限り聞くと。遠征中の負担なども減るように最大限組んでくれるのが大きかったですね。プレイヤー目線で色々とわかっている人ですし、新しくチームを立ち上げて、若手を取るというのもチームとして面白そうじゃないですか。なので、「じゃあ、入ります」という感じですね。僕は格ゲーをひたすらやっていたいので、プレイヤー目線で負担を極力かからないようにしてくれるというのが一番ありがたかったです。――日本のe-Sportsは最近どうだと感じますか?ももち:ちょっとずつは確実に来ているなという感じですね。まだ全然だとは思いますが、格闘ゲームだと今年はすごく上がっています。藤村:僕は、過熱しすぎているんじゃないかと思います。僕はただのプレイヤーなので正しいことはわからないんですが、急激に賞金を上げすぎて大丈夫なのかなと思っています。お金をかけた分、格ゲーコミュニティは返せるのか、視聴率を稼げるのかという点は不安です。お互い利益がある関係になるのが理想ですけど、その辺のバランスが取れているのかはちょっと気になります。――大会の数も増えてきていますしねももち:海外との比較をしても、「国内でもとうとう来たか」という感じですね。1億円の大会とかは「大丈夫か?」となるんですけど、いろいろ積み重ねてきている中の数百万です、は自然な流れかなと。ただ藤村が言ったように、コミュニティに還元されたりだとか、そこのバランスをしっかり取っていただくというのが、コミュニティやプレイヤーにとってはすごく大事なことだと思っています。賞金がすべてではないよというのが大事ではありつつも、国内で盛り上がってきているところでの賞金が上がってきたのはマイナスではないかなと思っています。――e-Sports業界のチームやプレイヤーが増えてきました。プロゲーマーがスポットライトを浴びることになりましたが、どういう感覚でしょうかももち:さっきの藤村の話じゃないですけど、浮かれないようにしたいなと思っています。自分が特別だとか、それは大会で勝った時も一緒ですが、e-Sportsのゲームに注目されているだけであって、自分に注目されているわけではないじゃないですか。自分の力ではないというか、今までの時代の流れだったりとか、そういったタイミングの中で、たまたま自分が先頭に立っているというだけなので、ここからもっと踏み込んで周りに、一般の人にゲームを知ってもらう、e-Sportsに興味を持ってもらうというところは持っていて、取り上げていただくことに関してはポジティブですね。藤村:僕は結構冷めた目で見るというか、僕としてはただゲームをしているだけなのに、周りで持ち上げている人達がいて、調子に乗っている他のプレイヤーを見るとちょっと大丈夫なの?って思います。若い子はやっぱりそうなっちゃう人が多くて、いっぱいお金を出してもらえるので勘違いしちゃうのはしょうがないと思うんですが、自分の立ち位置を見失わないと言うか、浮かれすぎずにやっていってほしいなというのは周りを見て思いますね。過剰に持ち上げられすぎてて怖いなという思いは常にあります。僕はももちさんよりも冷静にお金がどう動いているかとかは見れていないと思うんですよね。みんないっぱい投資していてすごいって言われていますが、実感がないですね。すごいって言ってもらえるのは嬉しいですけど、そんなに盛り上がっていて大丈夫なの?と。嬉しいんですが、不安を感じています。ときどさんのようなトッププレイヤーがちやほやされるのはわかるんですが。――どのスポーツでも世代交代がありますが、今後どのように進めていけば良いのでしょうかももち:一発逆転という意味では、結果としてはあると思います。EVOで優勝というのは若いプレイヤーがする可能性は十分ありますし、アメリカで言えばPunk選手であったりNuckleDu選手であったり、若いプレイヤーが来ているので、そういった可能性は十分にあると思います。特別、世代交代のために何かをするというよりは、自然とそうなるべきだと思っているので難しいですね。それが自分の場合は若手の育成だったりとか、「Fudoh(不動)」でサポートしてといった形で、後押しするということはあると思うんですが、自分にできるのはそれぐらいかなと思いますね。――まだまだ「かかってこいよ!」という感じですねももち:そうじゃないと価値がないですね。例えばウメハラ選手、sako選手さんが引退して、その1年後にときど選手、ふ~ど選手、ももちが引退しましたってなると、自然とそのポジションに繰り上げ当選みたいな形で若いプレイヤーが入るじゃないですか。でも、それを世代交代と言って良いのかなというのはあります。30歳を超えたプレイヤーが、若いプレイヤーに勝てないから引退しようかな、という形の方が良いので、世代交代のために引退して若いプレイヤーを後押しするというのは、結果その若いプレイヤーの将来のためにならないんですよね。そこで上がった若い子達って長くは持たなくて、自分の力で勝ち取ったポジションではないですし、その地力も積み重ねもないので、世代交代のためには自分の力と考えで乗り越えて欲しいなって思いますね。藤村:僕も大体そんな感じですかね。――やっぱり若手が来ると強くならなきゃ!という気持ちになるんでしょうか藤村:僕は若手だからとか関係ないですけどね。ただ今の日本の若手を見るに、そこまで情熱を持って取り組んでいるのは数人ぐらいしかいないと思うので。ももち:今のプロの30代が同じぐらいの年齢の頃って、死ぬほどゲームをやっているんですよ。それこそプロとか全くない時代に、どこにその情熱をぶつけるの?っていうレベルのことをやって、時代の流れでプロになれたというところなので。藤村:今の強い30代のプロって、異常な情熱を持ち続けて、格ゲーをただ好きでやり込んでいて、その人達が結果残ってプロになっただけなんですよね。今の若い子って、「e-Sportsって流行ってるんだ」みたいな形で、たまたまその人達も格ゲーが好きだったけど、異常な情熱があったわけじゃなくて、センスがあって才能があってたまたまこの波に乗れたからプロになったみたいな人が多いと思うんですよね。今の30代の質が狂ってるんですよね。なので、若い子からそういう人達が出てきてくれればすごく面白いと思うんですよね。ももち:だから今の若いプレイヤーって恵まれていて恵まれていないんですよね。それだけ、「何も得られない情熱」ってすごくて、頑張った先にプロがあるとか賞金があるっていうのは大した情熱じゃなくて。若いプレイヤーはそこが難しいですよね。結果が先に見えているので、ゴールがずっと見えないのにおじさん達は走っていましたからね。ゴールが見えている状態で、そのペースで走り続けますっていうのになっていて、気が狂ったような情熱はそうそうないですね。藤村:日本でいうともけ選手とか、あの辺がそういう情熱を持っていると思うんですよ。そういうプレイヤーがもっと若い子に増えたらいいなと思っています。――環境的には恵まれていますが、メンタル的にはどうするかといった面が難しそうですねももち:若い子は難しいなと思いますね…。――その中でも「やっぱりゲームだよ!」って思える人が輝くんですかねももち:そうでしょうね。ただそこはおじさん達の経験談になっちゃうので。でもそこで勝っているとか魅力があるプレイヤーって、そういうプレイヤーだったので、若い子達もそうだよとは思いますね。――そういうプレイヤーこそ埋もれている気がするんですよね。ゲームはやっているけど大会とか賞金には興味がないっていう子は結構いると思います藤村:そういう埋もれている人を発掘しようっていう企画も出てきているので、この先日本に必要なのは、埋もれている人を探すだとか、アマチュアで強いけどプロになれていないっていう人のモチベーションを上げるために、アマチュアの大会とか目指すところがあればいいなって思います。でも、今ってCapcom Pro Tourは遠いじゃないですか、開催が海外なので。それに参加するのは無理なので、そういう人達が気軽に参加できる機会は増えていくので、それで発掘できる機会も増えていくと思うので、それに期待しています。――最後に、読者に対してメッセージをお願いします藤村:僕は誰よりも強くありたいので。今は結構調子が良いんですが、今の実力に対して出来すぎた結果だと思っているので、この結果を当然のものだと言えるぐらい強くなるために頑張っていきます。ももち:今後、いろいろとみなさまとご一緒できる機会も増えていくと思うので、応援よろしくお願いします。――ありがとうございました若手の育成から、現状の日本のe-Sportsに対して、独自の考えを語ってくれたももち氏と藤村氏。共通して言えることは「強さをただひたすら追い求めている」、という部分。ふたりの「気が狂った情熱」が日本のゲームシーンを大きく変えていくことに期待です。
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