【モバイルアプリ中国進出ガイド】押さえておきたい主要プラットフォームの特徴と傾向 | GameBusiness.jp

【モバイルアプリ中国進出ガイド】押さえておきたい主要プラットフォームの特徴と傾向

多くのゲーム会社にとって中国は魅惑的なマーケットですが、いざ進出する際にはどこから検討をはじめるべきか悩ましいものです。そこで中国市場への理解・進出を考えている関係者に向けたコラム「モバイルアプリ中国進出ガイド」を連載でお届け。

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【モバイルアプリ中国進出ガイド】押さえておきたい主要プラットフォームの特徴と傾向
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2018年にインターネット人口が8億人を超えた中国(2018年8月、中国インターネット情報センター:CNNIC発表)。中でもスマートフォンユーザーの増加はめざましく、インターネット人口の98%にあたる7億8,800万人もの人々がスマートフォン経由でインターネットを楽しんでいます。その数は、日本の総人口の約6倍にのぼるほどです。

いまや世界で最もアクティブな中国のモバイルアプリユーザー。中国における1日あたりのモバイルアプリの平均利用時間は4.2時間にのぼっています(App Annie調べ)。

多くのゲーム会社にとって中国は魅惑的なマーケットですが、いざ進出する際にはどこから検討をはじめるべきか悩ましいものです。そこでGameBusiness.jpでは中国市場への理解・進出を考えている関係者に向けたコラム「モバイルアプリ中国進出ガイド」を連載でお届けしていきます。記念すべき1回目は、中国進出時のプロモーションで活用できる、中国の主要なアプリプラットフォームとその特徴について、ゲームアプリなどの中国進出を支援する中国最大のアドネットワーク企業、Mobvista(モビスタ)日本法人のゼネラルマネージャーを務める岩田行雄氏に解説していただきます。

スタンダードである「BATSB」を押さえておこう


中国のモバイルエコシステムは、ユーザーの増加と市場の急拡大によって日々激変しています。特にこの2年間で主要プレイヤーである「BATS」(Baidu、Alibaba、Tencent、Sina)が独占していた市場はByteDanceの急成長によって揺らぎ、「BATSB」と呼ばれるようになりました。まずこの5社が提供するプラットフォームを押さえておけば問題ないでしょう。

というのも、中国のソーシャルメディアマーケットは少数の巨大企業によって支配されています。2018年のインターネット広告収入を見てみると、その92.7%を上位10社で独占し、中でもBaidu、Alibaba、Tencent の3 社だけで69%を占めています。そこにSina、ByteDanceまで加われば、主要な広告プラットフォームをおさえることが可能になるのです。

中国のモバイルアプリユーザーの特徴は、ミレニアル世代(1981~1996年生まれ)とZ世代(1996~2015年生まれ)が大半を占めるということです。プラットフォームによって差はあるものの、全体として60~70%のユーザーが10代後半~30代半ばまで。Tier1都市(北京、上海など主要大都市)、Tier2都市(商業活動が活発で一定の経済基盤を持つ地方都市)在住のユーザーが多く、高等教育を受けた人や学生、ホワイトカラー労働者の比率が高くなっています。男性が5~6割を占めるのも特徴的です。利用傾向としては、課金を惜しまないユーザーが多いので、高い収益性を見込むことができるでしょう。

ここでは、日々中国のモバイルアプリマーケットをウォッチしているMobvistaの知見をもとに各プラットフォームご紹介していきたいと思います。

急成長中のByteDanceをまずはチェック


まず押さえておくべきは、急成長中のByteDanceです。いまや「世界最大のスタートアップ」との呼び声も高いByteDanceは、2016年に「Toutiao(今日頭条)」、海外ではTikTokと呼ぶ「Douyin(抖音)」、「Xigua(大衆点評)」、「Huoshan (火山)」をはじめとする6 つのアプリ のトラフィックを収集する、独自のマーケティングブランド「Ocean Engine (巨量引擎)」を立ち上げました。その特徴は、コンテンツ作成者がより快適にコンテンツを配信できるプラットフォームであることです。ちなみに現在は中国語のみの対応となっています。


中国最大かつ最も人気のソーシャルメディアチャネルを持つTencent


次に押さえるべきは、中国最大かつ最も人気のソーシャルチャネル「QQ」「WeChat」を擁するTencentです。「QQ」はインスタントメッセージとマイクロブログサービスとしてスタートしたものの、徐々にゲームや動画、eコマースへと領域を広げ、急速に成長しています。「LINE」とサービス内容に類似点が多いのも特徴です。「QQ」のモバイルアプリ「Mobile QQ」の1日におけるアクティブユーザー数は8億6,000万人以上。圧倒的なアクティブユーザー数は、広くリーチを取る上で有効活用できるでしょう。

一方、「WeChat」はビジネスシーンでの利用も活発です。単なるインスタントメッセージアプリとしてのみならず、仕事用メールのやり取りからオンラインや店頭での支払いまでカバーするフィンテックアプリとしても中国全土で広く普及しています。

こうしたTencent製品群では、そのユーザーの多さから幅広い年齢層をカバーすることができます。高等教育を受けたユーザーが多く、月額課金額が5,000円を上回るユーザーは32%にも上ります。

Tencentが提供する広告プラットフォーム「Tencent Social Ads」には「GDT」と「MP」の2種類があります。「GDP」は「Mobile QQ」、「Tencent News」、ソーシャルネットワーキングサービス「Q-ZONE」、「QQ Browser」などからのトラフィックを統合していますが、「MP」は「WeChat」広告専用のプラットフォームです。

広告出稿に向いている推奨カテゴリは、ゲームをはじめ、ツール、eコマース、教育、ブライダル、ハウスデコレーションなどとなっています。


世界4位のシェアを誇るAlibaba GroupのWebブラウザ「UC Browser」


中国でモバイルブラウザといえばAlibaba Groupが提供する「UC Browser」が圧倒的No.1です。中国国内ユーザーがほとんどにもかかわらず、Google Chrome、Safari、Firefoxに次いでモバイルブラウザとして世界4位のシェアを誇ります。

広告を出稿する上で最も向いているのはゲーム。さらにeコマース、ツール、教育、金融と続きます。


中国版Twitter「Weibo」はIPゲームのプロモーションに有利


中国最大のソーシャルメディアプラットフォームの一つである「Sina Weibo(新浪微博)」は、中国版Twitterと呼ばれ、140文字の投稿文字数制限があるマイクロブログです。

圧倒的なのは動画コンテンツの影響力。「Weibo」で公開されるショートビデオの1日の再生ピーク値は23億回、動画ストリーミングの1日あたりの視聴者数は538万人、閲覧時間は70.1分と、ユーザーをひきつけて離しません。男女比は1:1で、ユーザーの80%が30歳以下となっています。また、特筆すべきは、IPゲームの出稿に向いているということ。ショートビデオや動画ストリーミングの影響力が大きく、プレイ動画やサンプルムービなどが拡散しやすいのがその理由です。

2019年11月には日本でも有名なゲームメディア「ファミ通」と「ゲームの電撃」が協業し「Weibo」公式アカウントを開設したことも話題となりました。


中国No.1検索エンジン「Baidu」はAndroidユーザーが70%以上


最後にご紹介するのは、中国で75%以上のシェアを誇るNo.1検索エンジン「Baidu(百度)」の広告プラットフォームです。「Baidu」は検索エンジン以外にも、掲示板(BBS)型プラットフォーム「Baidu TieBa」や「Baidu Browser」も提供しています。地図やニュース、動画コンテンツなどインターネットユーザーが求める製品を全方位的に提供しているため、「中国版Google」と呼ばれることもあります。

ユーザーの特徴は、24~44歳と他のサービスと比べて年齢層が少し高めで、70%以上がAndroidユーザーである点です。出稿にはIPゲームが最も向いており、次いでeコマース、金融が推奨されています。


カジュアルゲームのプロモーションではGoogleのUACが効果的


こうした中国勢に対抗する代表格がGoogleです。Googleは中国では利用できないと思われがちですが、アプリプロモーションに活用できるGoogleの「UAC(ユニバーサルアプリキャンペーン)」は中国でも利用可能です。ご存知の通りUACは、元々はGoogle AdWordsのアプリキャンペーンで、Googleの最適化機能を最大限活用して広告配信できます。カジュアルゲームの分野だけに限定すると、中国ではこのUACとDouyin(TikTok)を軸にプロモーション展開することが一般的な手法と言われています。

新規パブリッシャー登録に最大8週間かかるケースも。中国進出には独自のノウハウが必要


広大な中国市場に乗り出すには、まずはこのように「BATSB」について比較検討することをおすすめします。自社のゲームと、ユーザー属性やコンテンツの特性がマッチするプラットフォームを選定し、出稿戦略を練ると良いでしょう。

プロモーションの計画立案から実施までには次のステップを踏む必要があります。プラットフォームのアカウントの登録・設定は通常は1週間未満ですが、「Weibo」や「We Chat MP」では、新規パブリッシャーやアプリアカウントの登録・設定だけで最大8週間かかることもあります。

プロモーションの計画立案から実施までのステップ

中国に進出する際は、独自のコミュニケーション方法やプロモーション戦略、アカウントの作成ノウハウなどが必要となるでしょう。したがって、プロモーションを展開する際は、現地のエージェンシーに依頼することをお勧めします。エージェンシーの選択基準としては、現地のアプリプラットフォームとパートナーシップがあることはもちろんのこと、プロモーションのノウハウやナレッジを提供してもらえるところが良いでしょう。




Mobvista について


Mobvistaは、世界中のアプリ開発者へモバイル広告・モバイル解析を提供するテクノロジープラットフォームのリーディングカンパニーです。Mobvistaが提供する収益化SDKは、2018年上半期の平均デイリーアクティブユーザー数(DAU)が中国でトップ、アジアで2位、世界で10位となりました。豊富なビッグデータやAIを武器に、2,000社以上の広告主へユーザー獲得に向けたサービスの提供や、70億以上のモバイル端末へ広告を配信しています。Mobvistaの収益化SDKは、2,440人以上の開発者が提供する11,000以上のアプリに実装されており、Mobvistaのモバイル解析SaaSプラットフォームは、49,000以上のゲームのデータ追跡に利用されています。

Mobvistaの強みは中国のアプリプラットフォームと強力なパートナーシップを構築していることです。ストラテジック・プランナーチームと計画を実行する運用チームを有し、データを駆使してアプリ開発者のプロモーションを効率的かつ効果的に支援します。

岩田行雄について

Mobvista日本法人のゼネラルマネージャー。デジタル広告業界で15年以上の経験を持ちます。そのうちの約7年間は、国内外のスタッフで構成されたチームをマネジメントしてきました。在籍していたTwitter Japanでは設立当初の中心営業メンバーの1人として、消費財、電気通信、インターネットの業界を担当。大手広告主や大手広告代理店とのビジネス開発や、関係構築に携わりました。その後に在籍した日本オラクルやhi Japanでは、インバウンド(訪日観光客)向けキャンペーンに関する事業開発業務を中心に、PR、投資、財務などの業務も経験し、2019年7月よりMobvista日本法人のゼネラルマネージャーを務めています。
《岩田行雄(Mobvista日本法人ゼネラルマネージャー)》

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