業績回復鮮明のシリコンスタジオ、ゲームエンジンの需要高まる自動車業界でも存在感を発揮【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

業績回復鮮明のシリコンスタジオ、ゲームエンジンの需要高まる自動車業界でも存在感を発揮【ゲーム企業の決算を読む】

ゲーム開発の環境構築支援などを行うシリコンスタジオの業績が安定してきました。

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グローバルイルミネーションミドルウェア「Enlighten」の提供など、ゲーム開発の環境構築支援などを行うシリコンスタジオの業績が安定してきました。

2023年11月期(2022年12月1日~2023年11月30日)の売上高は、前期比1.0%増の45億5,400万円、営業利益は同37.5%減の2億3,800万円でした。期首予想は減収を見込んでいましたが、増収で着地しました。

2024年11月期(2023年12月1日~2024年11月30日)は、売上高を前期比1.0%増の45億9,900万円、営業利益を同6.6%増の2億5,400万円と、増収増益を予想しています。

同社は2018年にかつて主力だったゲーム事業を譲渡してオリジナルゲームの開発から手を引きました。BtoB取引への移行が成果を出しています。

ゲーム事業の売上高は1年で半分ほどにまで縮小

シリコンスタジオは、アメリカの業務用コンピューター開発会社Silicon Graphics Inc.の日本法人である日本SGIの関連会社として1999年11月に設立されました。コンピューター上で3D画像を高速で生成する、リアルタイムグラフィックスの普及や開発が目的。2000年10月にアメリカのIntrinsic Graphics Inc.と包括的業務提携に合意し、ミドルウェア「Alchemy」を国内のゲーム会社に提供しました。

2003年にはコンテンツ・クリエイターの人材派遣事業を開始しており、ミドルウェアなどの開発環境支援と人材派遣の2つの事業は、現在の主力となっています。

シリコンスタジオは2016年11月期から3期連続の営業赤字となりました。業績不振の主要因が、2008年から始めたゲーム事業。『逆襲のファンタジカ』『刻のイシュタリア』などのゲームを扱っていました。

決算短信より筆者作成

ゲーム事業は売上貢献が高かったものの、大赤字を出していました。やがて売上高の失速も鮮明になります。2017年11月のゲーム事業は、売上高が前期の半分となる15億6,000万円、6億2,700万円のセグメント損失を計上しました。

2018年6月にゲーム事業の譲渡を決定。クリーク・アンド・リバーが、事業を承継した新会社クレイテックワークス(旧スタジオリボルバー)の株式90%を取得しました。この会社は現在、『パレットパレード』などのゲームを提供しています。

ゲーム事業の売却後、2期連続の営業黒字を達成。2021年11月期はわずかな赤字となるものの、それ以降は堅調に推移しています。

なお、Silicon Graphics Inc.は2009年4月に倒産しました。最終的にはヒューレット・パッカード・エンタープライズが買収。日本SGIも2017年8月に日本ヒューレット・パッカードに吸収されて解散しています。

シリコンスタジオの株式8%超を保有する筆頭株主は関本晃靖氏。日本SGIを設立し、シリコンスタジオの取締役会長を務める人物です。関本氏はクリーク・アンド・リバーの監査役も務めた経験も持っていました。関本氏がゲーム事業売却の立役者だったと見て間違いないでしょう。

アルゴグラフィックスがスクウェアの持株比率を上回る

シリコンスタジオは2022年11月期にミドルウェアにおいて大型ライセンス契約を受注。売上を一括計上したため、開発推進・支援事業の売上高は、前期の1.2倍となる27億6,300万円に膨らみました。2023年11月期の会社全体の売上高を期首に0.4%減と予想していましたが、これは大型案件獲得の反動があるとみていたためでしょう。

ふたを開ければ、開発推進・支援事業は前期比0.5%増と、わずかながら増収で着地しています。

決算短信より筆者作成

現在、売上構成において7割を占めているのが受託開発。ゲームの受託開発も行っていますが、そのノウハウを生かして自動車業界向けに車両モデルデータや都市モデルデータの提供などを行っています。


《不破聡》

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